全員がフラフープを回せる日本の園児たち
皆が同じ能力を求められる?
運動会シーズン。日本に住む妹から、甥っ子の幼稚園の運動会の動画が送られてきました。
甥っ子が属する年中さんの出し物は、フラフープを使ったダンス。音楽に合わせて子どもたちが踊る姿は可愛いし、頑張って練習したんだなーと胸アツでした。
温かな気持ちで試聴していたのですが、最後に驚きの演出が。4歳児のクラス全員が、一斉に腰でフラフープを回す回す!!コレ、回せない子どもが一人もいないのです。甥っ子も最初はできなかったのだけれど、練習に練習を重ね、できるようになったとのこと。
本当に驚いたし感心もした。努力した子どもたちに拍手を送りたいし、先生方の指導も素晴らしいと思う。
けれど一方で、ちょっとゾワっとした気持ちにもなったのでした。日本の子どもたちは、こうして幼少期から「全員が同じことをできるようになる」ことを叩き込まれていくのだなぁと…。子どもたち全員が笛に合わせて行進したりフラフープを回すのをドイツ人が見たら、きっと衝撃を受けると思います。
ドイツの幼稚園では、皆が横並びで何かをするということがほぼありません。外で遊びたい子は外で遊ぶし、絵を描きたい子は絵を描く。全員で歌を歌うとことすらありません。幼稚園で何をして過ごすは子ども各々に任されている、といった様子です。
教育の出発点がここまで違うのだから、出来上がる人間の国民性がここまで変わるのも納得です。日本は国民全体のレベルはそこそこ保たれているけれど、周囲と歩調を合わせることが求められ、突出した人は現れにくい。ドイツは個人が尊重されているけれど、チームで力を発揮する場面にはからきし弱い。
ドイツの飛び級事情
昨日、Twitterでこんな情報が流れてきました。
飛び級の国際比較。 https://t.co/ApyEtbcbxj pic.twitter.com/4gQsLp7Tyu
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2022年11月1日
15歳生徒のうち、標準学年より上の学年に在籍している生徒の割合(つまり、飛び級している生徒の割合)が、日本は0%、ドイツは45.12%だって。
チェコ、ルクセンブルク、ドイツでは飛び級が多いようだ。できる子には「進級してもいい」と声を掛け、振るわない子には「ゆっくりやりなさい」と今の学年をもう一度繰り返すことを促す。否定的なレッテル貼りの性格はない。あくまで個に応じた内容の提供を目指す。日本でもこれから重視されるべき、個別最適な学びと通じる。
個に応じた内容の提供、とても良いと思います。ただねぇ、約半数の生徒が「易しすぎて上の学年へ進みたい」と感じてしまうドイツの教育制度設計にも問題はあると思いますよ。
日本にいた頃は、海外の飛び級というのは特別優秀な生徒にのみ認められるものだと思っていました。しかし、ドイツで子育てを始めて、少なくともこの国ではそうではないことが分かりました。
ドイツの学校で学習する内容のレベルは、日本に比べるとかなり易しいものになっているようです。
例えば、小学2年生の算数で、日本では10,000までの数を学び、繰り上がり・繰り下がりのある足し算・引き算、さらには掛け算や分数まで学びます。が、ドイツでは小学2年生ではやっと100までの数を学ぶようなゆっくりペース。また、知り合いの日独カップルの小学5年生の子どもは、独自に日本のカリキュラムで算数を学んでいるのだけれど、ただそれだけでドイツの高校1年生のテストを全て解けてしまったと言います。
半数の子どもたちが「授業が簡単すぎて退屈だ」と感じ、進級…。高校卒業時点で生徒に基礎学力がついていないから、大学が困っているという話も聞きます。それもそれでどうなの。。。
日本には日本の、ドイツにはドイツの問題がありますよね…。どの国の教育制度にも、良い面と悪い面があるものだと思います。