「環境大国」に疑問符。電車が嫌われる国、ドイツ。
私の居住国ドイツでは、ガソリン代高騰への救済措置として、6〜8月の3ヶ月間、ドイツ鉄道(日本でいうところのJR)が超お得な乗車チケットを発売していた。
その名も「€9チケット」。1ヶ月あたりたったの€9(約¥1,200)で、ドイツ全国の電車・バス・地下鉄(日本の新幹線にあたるICEは除く)等々が乗り放題だというのだから驚きである。
こんな夢みたいな切符、買わない手はない!とさっそく6月に購入し、ベルリンまで家族と旅行したのだが…う、うーん。。これがなんとも微妙だった…。「切符が」というか、「ドイツ鉄道が」なのだが。
こんな破格にもかかわらず…
想像してみてほしい。もし日本で、「月1,200円で日本全国乗り放題チケット」なんてものが発売されたらどうなるか。そりゃもうほとんどの国民が購入するだろうし、電車は大混雑になるだろう。
ドイツだってきっと同じ状況になるだろうと想像し、満員電車に揺られながらの旅を覚悟して駅へ向かったのだが、
な、なんか…3回乗り換えて、3回とも家族全員、普通に席に座れたんですよね…。
え???(汗)
爽やかな初夏のヨーロッパ、お天気の週末、そして首都ベルリンへ向かう電車よ…?
決してガラガラではなかったけれど、座れないほどに混みあっているわけではない。東京や大阪の平日の電車の方がよっぽど混雑してる〜〜
ドイツ鉄道の不人気さよ…
これを見てつくづく思った。「あぁ、ドイツって本っ当に鉄道の人気がないんだなぁ」と。
ドイツ鉄道というのは、控えめに言ってまぁ酷い。遅延していない方が稀だし、乗るはずの電車が来ないこともあるし、表示されている行き先とは全く別の目的地へ向かっていたりすることも(おいおい…)。これまでドイツで5年ほど生活しているが、ドイツ鉄道で旅して、トラブルに巻き込まれず到着した記憶がない…。
案の定今回も、道中でトラブルが起こり、コーヒーショップのひとつもないようなド田舎の駅で全員降ろされ、ホームで1時間半ほど待機。遅延に遅延を重ね、本来なら3時間半で着くはずの道のりを7時間かけてやっと到着したのであった。
これじゃあさ、いくら€9といえど、電車を使おうと思わないよね…。だってアウトバーンで車をとばせば2時間で着くんだもの。
ドイツ人の義母曰く、「国営の頃はこんなに酷くはなかった。民営化されて、サービスの質が落ちた」と。え、なぜ民営化されるとサービスの質が落ちる!?逆じゃないの、普通!?
義母が言うには、「ドイツは役人の国なのであって、公務員は誇りを持って真面目に働くが、民間企業の社員はそうではない」とのこと。真偽は不明だが…。
環境大国ではなかったのか…?
いずれにせよ、こんな破格のチケットを発売していても席に余裕のある電車を見て、これが本当に環境大国の姿なの?と失望せざるを得ない。人々はやっぱり車を選んでいるし、ガソリン消費量は減らない。
環境にうるさく、様々厳しい規制が敷かれているドイツなのに、この酷い鉄道システムがそのまま放置されているのが不思議だ。少しでも改善されれば、車より電車を選ぶ人も増えるはずなのに。
1ヶ月間有効にもかかわらず、ベルリンへ行ったきり、結局その後は一度も鉄道を利用することのなかった私である。